愛知建築士会半田支部60周年記念特別号
去る平成26年2月21日に、クラシティ半田にて開催しました創立60周年記念式典においては、半田市長をはじめ多数の御来賓に御出席をいただき、無事終えることができましたことを改めてお礼申し上げます。
半田支部は、愛知県建築部、愛知建築士会等に御指導、御協力をいただき、私たちの先輩の方々が、知多の建築にかける熱い思いの元、昭和28年6月20日に、県下4番目の支部として、会員41名で設立されたと記録にあります。その後、会員数は400名を越える時期もありましたが、現在は、277名(平成26年3月現在)と減少をしています。これは、全社会的な現象ではあるかもしれませんが、60周年を迎えるにあたり、これからの半田支部を見据えたとき、私たちが今、何をすべきかを考えました。
その一つが、半田支部の60年の活動を、これからの会員並びに建築士というものをより知ってもらうために一般の方々にも伝えること。これがこの記念誌の発行です。CDとしたために、より多くの記録と、特に近年のものにおいては、より多くの画像で半田支部の活動について紹介できたかと思います。
また、最近では、耐震診断や防災出前講座を初めとした防災、減災への取り組みも行っていますが、60周年記念事業の一環として、より多くの地域との関わりを目指し、地域のNPOとの共同事業「地域と協働のまちづくり事業」に取り組んできました。これは、NPOと建築の専門家集団としての半田支部が、協力できることがあれば協力をして、他団体と連携をしながら、地域に貢献していくという取り組みです。これらも、自らの町は、自らが作り、守るのだという半田支部設立当時から続く地域の建築士としての、自負と責任感に他なりません。今後もこの事業は継続をしていく予定です。
そして、今回、記念式典に続く第2部では、知多地域5市5町と愛知建築士会及び愛知県建築士事務所協会とは、「地震災害時の応急対策活動の支援協力に関する協定」を締結しました。この協定は、来たる大地震後の一刻も早い復旧復興に向けての支援活動についての協定です。この協力活動は、事が起きてからの活動とはいえ、日頃からの行政と建築士会会員や事務所協会会員のみならず、地域で活躍する建築士、また、施工に携わる方の信頼関係、協力体制が重要となります。
今後、相互に協力し合い、地域の建築士として、安心・安全なまちづくりに取り組んでいきたいと思いますので、会員みなさまの、ますますの御支援御協力をよろしくお願いいたします。
新耐震基準移行とローラー作戦
木造住宅耐震診断特別委員会
委員長 成田完二
昨年度、耐震診断・改修設計基準が改定されました。2013年度はその移行期間とされ、旧基準でも受け付けたり新基準でないと受け付けしなかったり、など自治体により対応が分かれました。当委員会では指導方針を作成するのに数ヶ月かかるので、「8月に説明会を開き、それ以降新基準にする」事を決め、各自治体にお知らせして今年度耐震診断業務をスタートしました。
木造住宅では仕口や雑壁など計算しにくい耐力を必要耐力の1/4あると考え、耐力壁の強度を足して耐震強度を計算してきました。建築基準法の考え方も同じです。それが今回の改正で見直され、雑壁の強度も計算して耐力を出します。それだけ煩雑かつ厳しい基準になりました。
新基準移行の説明会は8月26日、半田市役所3階大会議室をお借りして行いました。契約エリアに登録された診断員だけに連絡して行う予定でしたが、市役所新庁舎建設に伴い、直前に駐車場が変更され、その案内を木造耐震ネットワーク知多のメーリングで流したので、知多市や常滑市などのエリア外の診断員にも知られる事となり、予想を超える参加者で椅子も資料も足らず、市役所に迷惑をかけました。
岩滑地区ローラー作戦
もう一つの大きなイベントは半田市耐震診断ローラー作戦です。亀崎地区が昨年度で終了したので、今年度は他地区になります。真夏の8月10日に協和区、真冬の12月14日に岩滑区で行いました。協和には診断員16名、岩滑には13名参加して、半田市建築課の職員、地区の役員さんと診断員が組を作って、無料診断の対象で未診断の家を一軒ずつ訪問します。私が参加した組では両地区とも役員さんの顔で話しが進み、かなりたくさんの申込をいただきました。
半田市内でもまだまだたくさんの地域が残っています。これからもローラー作戦は続くと思います。地区の役員さんは変われども市の職員と診断員は変わりません。診断員のみなさんにはより一層のご協力をお願いします。
平成25年度半田市景観審議会報告
まちづくり委員会
委員長 永田創一
昨年10月、審議会において亀崎の景観形成重点地区内にある旧藤友呉服店が景観重要建造物に指定されました。
半田市ふるさと景観条例は「わたくしたち市民は、先人が守り育ててきた豊かな自然と貴重な財産である数多くの山車や蔵をはじめとするふるさとの文化と歴史を受け継ぎ、それらを生かしつつ、さらに美しく快適なまちに育て、次の世代に引き継ぐことを願ってやまない。」とし「半田市の優れた景観の保全及び形成に関し必要な事項を定め、ふるさとの景観づくりを推進すること。」を目的にしています。
旧藤友呉服店は数年前から地域の人たちの拠点として保存活用がはじまり、多くの募金を集め、改修を進めてきました。このたび景観重要建造物に指定されたことにより、市から補助金も出ることになります。また、民間の建物が初めて指定されたことは今後のまちづくりに大きな力となることでしょう。このことでますます地域の人たちの活動が活発になることだと思いますし、我々まちづくりに携わる建築士がもっともっと地域で活動することが大切になってくることだと思います。
尚、指定の方針に基づく条件の中には我が支部が取り組んできた半田市景観賞受賞や建築番付に掲載されていることがあるということを知っておいてください。
今年の研修見学会は今までの一泊ではなく初の試みで、日帰りとして、日本人の心のふるさと伊勢志摩方面に参加者27名で行って参りました。(ちなみにノンアルコールも「初」)
9月8日(日)、曇り空でしたが傘をさす機会が少なく、涼しい日に恵まれました。名鉄知多半田駅前 に7:15に集合、行きの車内ではMr.クイズマン角岡君のクイズ大会、海の博物館では館長さんに建物などの説明をしていただき、楽しい午前でした。そして、二見プラザでの昼食では杉浦護先輩の乾杯の後、伊勢名物・伊勢うどんとてこね寿司を堪能しました。
午後のせんぐう館では、遷宮の内容が模型で解り易く展示してあり遷宮の知識を学習した後、内宮へ到着、新しいお宮を造って大御神にお遷(うつ)りを願う遷宮の建築終盤の建物やおはらい町通りの街並み見学をし、心もお腹もいっぱいになったところで、いざ岐路へ。
心配していた渋滞もなく、参加して頂いた皆様のご協力もあり全行程とてもスムーズに、予定通りの19:00に解散出来、何事もなく終えることが出来ました。
アルコール好きの方には物足りなかったかもしれませんが、とにかく参加された27名の皆さん!お疲れ様でした。
研修委員会のもう一つの事業として、今年2月5日(水)、株式会社愛知建築センターより講師をお招し、すまい給付金・住宅ローン減税等の税制拡充・低炭素建築物技術的基準について、解説していただいた講習会を半田市市民交流センター3階ホールにて開催しました。
同センターの、河合慎一様、石川近利様よりパワーポイントにて解り易く解説していただき、当委員会で社員の太田吾一君には、手際の良い進行をしていただきました。参加者された43名の皆様には、活用して頂けるきっかけとなったのではないでしょうか。
また、アンケートを配布し、参加者の皆様に講習会資質向上のために、ご協力を頂きましたので、これからも会員の皆様に「愛される研修委員会」をスローガンに、次年度以降に是非、反映したいと思います。貴重なご意見、本当に有難うございました。
平成25年度 青年委員会では、昨年度から引き続き「社会人の寺子屋」と称した、定例研修会及び青年意見交換会を行いました。最近の課題であります、会員増強を目標として、窓口を広く、誰でも気軽に参加できるような研修会を2ヶ月に1回行いました。昨年度から通算7回の定例研修会を行うことでき、青年委員会同士のつながりが深くなったと思います。また、新しい仲間もでき、とても有意義な時間を過ごす事ができました。
第5回 定例研修会開催風景
昨年、20代、30代前半の子から出た「顔と顔を合わせ、会話をして初めて、仲間になろうと言う気持ちになる。」「同年代で色々なことを話せる場所があれば、仲間になれると思う。」と言った意見が、まさに実証できたのでは?と思っています。
ネット社会になって、欲しい情報はネットを調べれば、大概の事はわかる時代で、建築士会の存在価値が薄くなっている時代だと思いますが、やはり人は繋がりのなかで、安心し、互いに切磋琢磨できるのだと再確認しました。
これからも、意見交換をする場をなるべく多く作っていけたら、面白い青年委員会になるのではないかと思います。
平成25年度事業を終えて
女性委員会
委員長 細川美智子
女性委員長の役をいただいてもう2年の時が経ちました。
いつも計画を考えるとき、どの様な内容にすれば参加者を増やすことができるか悩みのタネでした。
今年は、母親として、女性建築士として働く姿をみて理解を深め、少しでもお子様の将来の夢に繋がっていけるといいなぁと思い、親子で参加出来るような内容に決めました。フィン・
ユール自邸(高山市)見学と、古い街並み歩きです。自邸の外観はとてもかわいくて、所どころのビビットな色使いがとても新鮮な印象を受けました。
内部に入ってみると天井も高くゆったりとした感じで、入口の周りの角度や壁の微妙なカーブなどセンスの良さに感動です。街並みも人の波をかきわけながら、あちこちの店から漂う美味しそうなにおいに誘われてのまちあるきでした。さすがにここでは、お子様もおねだりしてお母様に甘える姿は微笑ましく感じました。
年明け1月の下旬、懇親会をかねて知多市岡田のもめん蔵にて機織り体験をしました。
布地を細く裂いたものを緯糸として織っていくものですが、最初はどの様になるか不安でしたが、織りあがったものはそれぞれ素敵な出来上がりです。
岡田は知多木綿の発祥地で歴史も古く、江戸中期に『知多晒』として江戸送り日本一ともいわれるようになったようです。財をなした商家の蔵があちこちにあり、ボランティアガイドの方の説明を聞きながら案内をしていただきました。
来年度の事業計画や、役員交代などを決めて25年度の締めくくりです。現役のかたも、後に続く若い人達もたくさん参加して頂き、より活発な事業となる事を期待しております。2年間ご協力ありがとうございました。
支部創立60周年を迎えて
支部創立60周年記念事業特別委員会
委員長 岡澤宣弘
この度、半田支部が60周年を迎えました。昭和28年6月20日に設立総会が行われ、県下4番目の支部として会員41名で発足されました。設立に当たっては、予定より1年遅れとなり、紆余曲折のご苦労があったと聞き及んでおります。
それ以来、多くの諸先輩方の歴史が刻まれてまいりました。周年はその立派に刻まれた歴史を認識するのに大変良い機会であります。
半田支部は知多半島5市5町にわたり、県下でもまれにみる広範囲の活動を展開してまいりました。この10年を振り返ってまいりますと、リーマンショック、姉歯事件等、建築業界も多大な影響を受けました。なかでも、リーマンショックによる世界金融危機は大幅な景気後退、消費の落ち込みから建築を取り巻く環境も悪化の一途を辿ることとなりました。その様な背景のなかでも、支部活動は活発に継続されたのです。
最たるものは、「半田市ふるさと景観賞」でしょう。4月に業務委託を受けて以降、翌年2月の表彰式までの約1年弱という長きにわたり活動致しました。また、防災関連の事業にも力を入れて参りました。平成14年から始まり、10年間で7,400件余りの実績を上げております。予想される大地震に備え、まだまだ啓蒙活動を邁進していかなければなりません。
平成19年に女性委員会が発足し、常議員にも参加していただくことで一層視野の広い活動が行われるようになりました。また、小中学生を対象とした「出前講座」、半田市の“ゲストティーチャー制度”を利用した、中学生が対象となる講義など、未来を担う子供たちが夢を抱いて建築士を目指せるよう、地域貢献も推進しております。
今年度は60周年という節目を機に、公益法人として福祉関係にも注力していくこととなりました。「地域と協働のまちづくり事業」と銘打ち、借家利用が多い福祉関係のNPO法人施設改修の手助けをしていく予定です。
また、予想される大震災に見舞われた後の避難施設が安全かどうかを見極めるため、応急危険度判定士が行政と協力していくことを協定に盛り込んだ調印式を周年式典に合わせて行いました。5市5町の首長と建築士会・建築士事務所協会の会長が一堂に会したのは画期的な出来事でした。これは各市町の担当職員の方々のご尽力のおかげだと感謝致しております。
60周年をきっかけとした事業はまだ入り口に差し掛かったところです。これから私たちがしっかりとした行動を継続していかなければなりません。
今後も建築士としての誇りをもって新たな歴史を築いていくためにも、会員様のご協力とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
■編集後記
本年度、半田支部創立60年を迎え、節目の事業がありました。先人の苦労を振り返るいい機会となり、後世にうまく引き継げるようにしなければならないと、あらためて感じました。私の広報委員長としての任期2年が終了となります。何もできないまま終わったような・・・。今後、どこかで機会のあったときは、よろしくお願いします。2年間ありがとうございました。
広報委員長 河合和彦