支部事業を振り返って

支部長  岩P 計介
 日頃は、会員の皆さまには支部事業の活動に対しましてご理解とご協力、また、ご参加を頂き厚くお礼申し上げます。
 私が、支部長をお受けして早2年、任期満了の時期を迎えようとしています。建築業界では、オリンピック景気で仕事量が増加傾向にあり職人不足といわれていますが、一部の地区のみであり好景気の恩恵には程遠いのではないでしょうか。
 平成29年度事業では、各委員会の委員長さんを始め委員の皆さんが精力的に活動を進めていって下さっています。研修委員会では、1泊2日の日程で目的:テーマ 長野 北斎とオリンピック施設 東京オリンピック、パラリンピックが2年後に迫り、今年は平昌冬期五輪が開催され、かつての冬期オリンピック施設開催地と選手村また、葛飾北斎が晩年を過ごした小布施で、肉筆画に出会うことができました。
 研修見学先では、会員相互の親睦を図りつつ多くの施設も見学でき実り多い見学研修になりました。ご協賛を頂いた皆さんには厚くお礼申し上げます。
 会員親睦会では、常滑市にある セントレア(中部国際空港)まるわかりツアー(滑走路コース)を企画して頂き普段立ち入ることのできない滑走路脇で航空機の離発着を肌で体感することができ、夏休み中でもあり親子で参加された家族には特別な一日であったと思います。
 最後に、愛知建築士会が一般社団から公益社団に変わり、公益性に軸足を置くようになり、支部事業の自由度が損なわれご参加される会員の皆様にはご負担をお掛けしています。支部も会員減少が進んでおり役員のなり手不足も顕著であり、役員構成に支障が出始めていますが、今後も会員相互の親睦を深め多くを学び建築に携わる皆さんにとって幾らかでも業務上お役に立てる事業展開を進めてまいりますので、積極的な事業参加をお願い致します。

四年目の研修委員会

研修委員長  成田 完二
 研修委員長は2期、4年努めさせていただきました。昨年度からタブー?であった温泉宿泊を復活させ、その帰りのバスで、次も温泉にという方針が決まりました。そのときは「渋温泉」が候補でしたが、企画したら料金が高く、隣の湯田中温泉で値打ちに請けて戴ける旅館を知多バス旅行に探してもらいました。

エムウェーブ前で集合写真
 温泉旅館の欠点は、部屋の利用人数で値段が変わることです。男女のバランスでどうしても1人部屋とか2人部屋ができてしまうものですが、ありがたいことに今回女性が3名参加して頂けたので、部屋の追加が無く、限られた予算を有効に使うことができました。
 湯田中温泉といえば小布施が近く、小布施は葛飾北斎です。冬季オリンピックの直前に引っ掛けて、「北斎とオリンピック施設」をテーマにしました。
 長野は遠い。でも渋滞も無く予定より早く着けたので、見学時間も長くでき、10分程度としていた旧オリンピック選手村もじっくり見学出来ました。小布施も時間ゆったり、まちを散策して、栗のスイーツをいただきました。

エムウェーブ内部

エムウェーブ外部
 日程は11月26〜27日、紅葉は若干残っていました。晩秋の長野、風情ある景色です。

安藤百福記念センター

安藤百福記念センター 食堂
 2日目は小諸に移動し、安藤百福記念自然体験活動指導者養成センターの見学。隈研吾氏の設計です。センターの当日利用者は無く、どの部屋も見て良いと言っていただき、資料もちゃんと用意して下さり、たいへん親切な対応でたっぷり見学ができました。
 4年間研修委員長を務め、私なりに工夫したつもりでしたが、参加人数が少なかったことが心残りです。今回も12名(登録は13名)でした。ネタが尽きましたので、研修委員長は交代です。今後は楽しく参加したいと思います。

建築家 妻木頼黄ゆかりの地を訪ねて

まちづくり委員長  永田 創一
 昨年秋、明治の三大建築家のひとり妻木頼黄(よりなか)のゆかりの地である岐阜県土岐市妻木町を訪ねました。
 妻木町にある妻木城の城主の流れを引き、旗本源三郎頼功の長男として誕生した頼黄は、工部大学校造家学科(現東京大学建築学科)を卒業後、コーネル大学に留学し、その後、ドイツにも留学しました。
帰国後、横浜正金銀行(現神奈川県立歴史博物館)をはじめ数々の作品を世に送り出しました事はみなさんよくご存じのことでしょう。その作品の一つに丸三麦酒(株)工場(現半田赤レンガ建物)があります。
 今回、平成7年から活動していらっしゃる妻木城址の会の皆さんに妻木城跡・土屋敷跡を案内していただき、妻木公民館では膨大な資料も見せていただきました。これらを基に、日本建築学会・博物館明治村・神奈川県立歴史博物館・妻木城址の会の皆さんのご協力をいただき、4月下旬から1か月間、半田赤レンガ建物内で、「妻木頼黄展」が開催されます。是非、見学してみてください。

セントレア まるわかりツアー

親睦委員長  松田 誠史
 平成29年7月25日(火) セントレアにて《まるわかりツアー》を企画させていただきました。

 当日は天候にも恵まれ、大人14名、子供8名の合計22名でセントレアの普段入ることのできない場所をバスで回らせていただきました。土曜、日曜に企画できるとよかったのですが夏休みの土曜、日曜は前年のうちから予約が埋まってしまっていましたので、申し訳ありませんでしたが火曜日に開催させていただきました。滑走路の近くを通り、バスから降りて飛行機の離発着見学することもできました。バスの中から飛行機のパイロットの方に手を振ったら反応して手を振り返してもらえました。子供さんをはじめ、大人の方にも楽しんでいただけたのではないでしょうか。
 セントレアの後には、皆さんで「まるは食堂」で昼食を取らせていただきました。セントレアでのことなど話も盛り上がり楽しい時間を過ごすことができました。
 平日にもかかわらず参加していただいた皆さんありがとうございました。また皆様のご協力もあり親睦会はスムーズに進めることができました。出席された皆様ありがとうございました。

高知県に学べ!耐震改修促進

木造住宅耐震診断特別委員長  
成田 完二
 2015年の暮、高知県に伺ったときに、県の耐震担当川崎氏は、高知県知事から「耐震改修の速度が遅い、来年度は倍にしろ」と言われていると語った。その年度、高知県の木造住宅耐震改修は600件余、人口からすれば少なくない。半田市の人口に換算すれば100件に近い数だ、予算を3倍にしてもらわないといけない。
 愛知減災協の安価な耐震改修を広める活動をしているが、高知県は先進でその年すでに3回目の講習会である。A工法という構造用合板を使った安価な改修工法は高知県に普及しつつあったが、倍化にはそれだけでは足りない。
 高知県は広い。高知市内はかなり進んでいるが、市町村によっては、耐震改修が進んでいない空白地があるのも事実で、そこを無くすのが真っ先の課題だろうと私も思った。
 高知県はそういう地域に入って、耐震改修をする業者の教育を徹底したようである。県の職員自ら講師になり、また一緒に酒も飲む。相当自腹も切ったに違いない。
 その結果、昨年度は1200件、今年度は1700件に迫る改修件数だと聞く。半田市の人口に換算すれば250件超、10倍のペースになる。何故それができたのか、前述の努力もあるが、伏線はいろいろあって、それが結び合って一気に花開いたと見ている。その中で設計料の補助は大きな役割を果たしている。基本が2/3補助で20万円、つまり耐震改修設計料は30万円が基本となり、その足が出た10万円も自治体によっては補填してくれるところもある。改修費も定額補助なので、上手くすると設計も施工費も全て無料、小さな家に住む人は診断費の3000円(高知県は無料ではない)さえ払えば全部ただ、ということも。これなら「お金が無いから」と診断さえも断る人に理由が無くなる。
 愛知県も新年度は「N倍作戦」とかで、改修を倍化させる計画のようだ。高知に比べ分母はでかく、可能性は比較にならない。さて、どうなるか、協力は惜しまないが、それなりの政策は取っていただきたい。

常滑・岐阜まち歩きツアー
   &親睦交流会

青年委員長  野田 貴之
 今年は身近にある昔や今の建物や街並みを感じるツアーと青年委員同士が親睦を深める交流会を企画させて頂きました。常滑では伝統工芸の体験を岐阜では現代建築を見て歩き意見交換するなどとても有意義な事業となりました。

常滑焼体験
 「常滑やきもの散歩道見学会」を8月に開催致しました。まず初めに参加者全員で陶芸体験をして常滑の伝統的な産業を学びました。今回は手びねりと言う事で作り方をお店の人に学びながら、各真剣に土と向き合いそれぞれが個性のある形に仕上げていました。その後、焼き物散歩道を散策して古い街並みを見て歩きながら、焼き物を使った舗装や擁壁の中を抜け、散歩道沿いにあるお店に入り建物の歴史を聞いたりして楽しい一日となりました。

ぎふメディアコスモス
 「岐阜の建築物見学会」を1月に開催致しました。今回は現代建築と言う事で伊東豊雄氏の「ぎふメディアコスモス」や安藤忠雄氏の「長良川国際会議場」の見学をしました。やはり高名な建築家の設計した建築物はいろいろな挑戦をして設計されており、私達にも良い刺激になりました。帰り道で柳ヶ瀬商店街にも立ち寄り、商店街の変化も感じることが出来ました。また、建築士同士で見学したということもあり、細部の納まりや自分たちが街歩きをして感じたことについて意見交換をする機会もあり自分たちの今後の建築に活かすことのできる有意義な事業となりました。
 「親睦交流会」を8月に開催致しました。こちらは家族も参加して常滑の大野海岸のバーベキューハウスでの交流会となりました。

大野海岸BBQ
見学ではなく食事を交えての交流会でしたのでいつもの建築ばかりでは無く育児や家庭の話題もあり、いつもの雰囲気よりもさらに和やかで、和気あいあいと交流が出来て有意義な事業となりました。
 来年度も青年委員会は様々な事業を行い、参加した方が経験や親睦を深めることのできるよう努めていきたいと思いますので、皆様の参加、ご協力をお待ちしております。

半田支部女性委員会10周年

女性委員長  大坪 一子
 本会女性委員会が30周年を迎えた平成29年度は、半田支部女性委員会も10周年となりました。発足時の目的は半田支部内の女性会員に半田支部事業や本会女性委員会事業への参加を促し、さらには積極的に地域に入り健康で生き生きとした町づくりの手助けをしたいとの思いでした。10年を振り返って、果たしてどこまでその事が実現できているかはわかりませんが、着実に一歩一歩 前進してきているのは確かです。

旧内田家住宅(佐七家)
 第一回見学会は7月2日(日) 愛知県南知多町にある尾州廻船内海船船主 旧内田家住宅(佐七家、佐平二家)。見学会には、士会会員6名+一般1名の参加がありました。明治2年(1869)の建築で「にわ(土間空間)」の豪快な小屋組は井桁に組まれた梁組が上下3段に重なって折り、その上に桁行方向5間半の長大な梁2本が梁間方向2間半を3等分する位置にのせられていました。「神屋」が仏間と並んで配置され、金毘羅宮(航海安全)・多賀神社・伊勢神宮・熱田神宮・秋葉神社が祀られており、その当時の航海に伴う事故など多くの災難に対して信仰に傾倒する姿を感じました。この建物は平成17年〜24年にかけて保存修復工事を施工、先人の知恵が随所に見受けられた建物で、歴史を学ぶ事の大切さを改めて知りました。

丸亀市 猪熊弦一郎現代美術館
 第二回研修旅行は11月23日(木) 四国へ。半田支部会員3名、豊田支部会員2名、名古屋みなと支部会員1名+保育園児 合計7名で行ってきました。

真夜中の太陽
 まずは「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館」 谷口吉生設計で1991年竣工した「ハコ」のような建物です。3層に展開する展示スペ−スが主体で、屋上には庭園があり、ホ−ル、ワ−クショップがつなぎ空間として挿入されていて複雑な空間体験が味わえました。また隣接する鉄道路・広場も、デザインされており 廻りとの調和を持つ美しい建物でした。午後はイサムノグチ庭園美術館を訪れました。

イサムノグチ庭園美術館
 住居イサムの家や「地球彫刻」を表現した展示場が町中に存在していることにびっくりしました。「エナジ−・ヴォォイト」「真夜中の太陽」などの作品や、ノグチの世界観を肌で感じられました。この旅で設計を学ぶ基本はすぐれた建築を見ることであると再認識しました。

 引き続き来年も 地道な活動を続けて行きたいと考えています。



■編集後記
 若輩者ですが、広報委員長を仰せつかり、2期4年やらせていただきました。本業や他団体の役職もあり、あまりお役に立てなかったのではないかと心苦しく思いながら、自分なりに責務を務めさせていただいたつもりです。
 このtheCityの編集で、私以上にお忙しい環境で活躍されている各委員長の苦労を感じ、建築士会の活動にご尽力いただいている事に頭が下がる思いでいっぱいになります。私も広報委員長としてなるべく多くの事業に参加するように努めてまいりましたが、各事業の参加者が伸び悩む状況も見受けられます。皆さまの声が聞こえにくい状態での企画運営は本当に大変だと思います。各事業に参加できなかった会員の皆様も、このtheCityや半田支部ブログなどを通じて事業に触れ、活動を考え、建築士の地位向上、延いては建築士会の飛躍へと繋がる行動へつなげていただければと思います。
 皆様のご支援をいただきながら1998年から発行してきたtheCityも今回で終了となる見通しです。theCityバックナンバーについては、半田支部ホームページにて閲覧いただけるようになっておりますので是非一度お読みいただければと思います。来年度からは、インターネットを通じて、半田支部ホームページやFacebookページにて情報発信をしていく予定となっております。
 これからも、少しでも良い事業を行い、よりよい建築士会にしていくために、皆様からの“こんな事業やってほしい”や“こんな講習聞いてみたい”などの声をFacebookページへお寄せいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 最後に、皆様方に引き続き愛知建築士会半田支部の活動に深いご理解とより一層のご協力をお願いして編集後記とさせていただきます。
広報委員長 榊原昭仁