平成23年度を終えて
支部長 岡澤宣弘
 日頃は会員の皆様のご協力と温かいご理解を頂き、お陰さまで今年度も活動が出来ました。厚くお礼を申し上げます。
 今年度も何時の間にか過ぎようとしています。振り返ってみますと日本は激動の一年でした。明るい兆しが見えてきたと期待していた時、東日本大震災。欧米のユーロ不安。その影響による円高、タイの大洪水、その上、中国の経済が下降気味。私ども、建築産業に携わる者にとってはこの先が全くの暗闇です。2年前、支部長に就任してから昨年の12月までに愛知県内で約280名の会員が退会しました。半田支部は7名。会社転勤も有りますが廃業の方もおみえになります。退会届が提出された時には寂しい思いをひしひしと感じているところです。私達、技術者はただ仕事をしていれば良いという時代ではなくなってきています。当然、仕事は特異な分野を生かしていく事が大事ですし、地域の活動に積極的に参加をしていく事が望まれています。この様な活動を通し、この苦境を乗り切って頂きたいと願っています。
 今年度の事業は例年通り行われました。研修見学会は大阪市内とその周辺。市内をじっくりと歩きますと歴史的建造物が結構多く残され、それも使用しながらで有ることに驚きました。毎年、研修委員の企画に感嘆しながら楽しく見学をしました。青年委員会、女性委員会もそれぞれ活発に活動をしました。時には子供さんも参加をしており、楽しい雰囲気での活動となっています。その他の事業も有りましたが多くの会員の方に参加して頂きたいと望んでいます。人とのふれあいで考え方や見聞・情報収集等で視野を広げる事が出来ますよ。
 情報の発信に対してはHPやメール(メール会員)にて行っております。まだ、未登録の方は登録をして下さい。
今年度より公益社団法人愛知建築士会となりました。内容的には何ら変わりは有りませんが、徐々に事業は公益性を持った事業を多く取り入れていくことになります。支部として一般の方にも活動参加を呼び掛けており、会員の方にも積極的な参加、ご協力をお願いしたいと思います。

耐震グランプリ
「優秀賞」を受賞しました
木造耐震ネットワーク知多  
 成田完二
 半田支部にご支援いただいて運営している「木造耐震ネットワーク知多」の活動が、第5回日本耐震グランプリの優秀賞を受賞しました。11月8日、東京の日本都市センターで行われた授賞式にネットワークの代表委員で半田支部長の岡澤さんと私で出席しました。
 グランプリは「SRF工法<包帯補強>」構造品質保証研究所(株)、復興功績賞に「住田型応急木造仮設住宅の建設」住田住宅産業(株)、優秀賞に木造耐震ネットワーク知多と「地盤の大切さ・・・伝えます―住宅を守る、宅地を守る―」(株)リアス、あと 選考委員特別賞に耐震補強を考える会(滋賀県)とNPO輪島土蔵文化研究会が受賞しました。
 この賞は、愛知県を退職され今は名古屋大学にお勤めの川端さんから教えていただきました。「優秀賞はまず大丈夫だよ」と言われ、簡単な気持ちで活動をまとめ、応募しましたが、行ってみてわかったのは、他の団体、会社も立派なことやっていて、優秀賞なんてまぐれみたいなものでした。特に滋賀県の耐震補強を考える会はほとんど同じようなスタンスで、学習会を繰り返し行い本まで出していました。違いと言えばこちらが自治体と協力して相談会を行っていることが、わずかに高い評価を得たのかな、というのが実感です。

 この主催団体はNPO法人 東京いのちのポータルサイト(通称いのポタ)、阪神淡路大震災後に「このような被害を繰り返さない」という気持ちで集まったかたたちで、いろんな立場の人が居ました。学者から公務員、鉄道会社の職員、理事長さんは染物屋の社長でした。総会という名の懇親会に出席させていただいて、いろんな方々と交流ができました。受賞はありがたいことですが、そればかりでなく耐震というキーワードでネットワークが広がったことが何より良かったと思います。
 今後もこの賞に恥ずかしくない活動を広げたいと考えています。皆さんのご支援よろしくお願いいたします。

半田を中心としたまちづくりの現状について
まちづくり委員会委員長 永田創一
 平成22年10月「半田運河の会」が設立された。会は半田運河を観光の一大拠点とする半田市が策定した事業計画にもとづき、その円滑な推進に資する事業をおこなうことを目的とし、運河周辺の企業及び住民約120名にて活動を始めた。10年に1度改定される衣浦港港湾計画を受け、平成19年10月「半田運河再活性プロジェクト協議会」が設立され、本格的に半田運河周辺を活性化して、それを知多半島全体へと波及させていくこととした。翌年には北海道の小樽運河、宮崎県の日南市堀川運河と半田運河の関係者が半田市に結集し「三大運河」として今後連携していくこととなった。景観条例策定委員会、都市計画マスタープラン策定委員会等のなかで、運河周辺の整備がいかに重要であるかが話し合われた。
 そこで、7年前に半田支部が提案したJR半田駅前周辺の都市計画や半六邸の耐震調査が日の目を見る時期がいよいよ来た感がある。我々建築士がいかにまちづくり取り組んできたかが評価され、それが具現化されていくことで我々の活動が活発化していくことと思う。半田市産業観光振興計画策定委員会でも、急激な時代の変化が生じても継続して計画推進を図ることができるよう変化に柔軟に対応できる市民協働による地域体制を含めたまちづくり計画を考えている。我々はこうした長期ビジョンのなかで、いろいろな機会をとらえまちづくりに関与していく気持ちを持たなくてはならないと思う。

支部の親睦会開催
広報ふれあい委員会委員長
 細川 美智子
 2年ぶりに親睦会を常滑ライブミュージアムにおいて開催しました。久しぶりの会でどのような内容のものがいいのかずいぶん悩みました。日頃、お世話になっている奥様や、お子様達と、ふれあう事ができるものがいいのではと思い、モザイクタイルアート作成を企画しました。物作りを通して、会員同士、家族同士、会話が広がり、ひとつのものに心が向けたらいいなあ・・・・と


 当日、係員の方から説明を受けて、終了まで1時間30分の時間制限の中、150角の枠の中に、小さな色のタイルを並べて、それぞれがアイデイアを絞って、仕上げていきました。その方の個性がよくでていて、とてもステキな作品になったと思います。
 参加された2人のお子様の作品も、子どもらしく大胆な色遣いで、将来が楽しみです。
 参加者は少数でしたが、いいふれあいができたのではと感じました。多少ですが、脳の活性にもなったのでは?
 昼食は、敷地内にあるイタリア料理店で、シエフおまかせの料理に舌鼓をうちここでも会話がはずみ、なごやかな雰囲気のうちに終了する事ができました。
 親睦会も全員参加は無理ですが、支部の活動を理解され、関心を持たれ、一人でも多くの方が、これからの事業、行事等に参加される事を期待します。ありがとうございました。


研修委員会事業報告
研修委員会委員長 太田悟市
 研修委員会では11月に研修旅行を実施しました。今年のテーマは「永く愛される建物」。最近、建物の長寿命化、既存建物の再利用などを検討する機会が増えてきたので、参考に永く愛されている建物を見に行くことにしました。山本さんの案による大阪市内船場地区には、商業ビルとして現役のレトロビルが多くあります。今回は中之島図書館、中央公会堂、芝川ビル、船場ビル、綿業会館を周りました。

 中央公会堂は見通しの良い川縁に堂々と建っていました。石造りの外観は見た目も堅くなりがちですが、外壁の明るいレンガ色がそれを感じさせず華やかさを演出していました。
 中之島図書館では階段ホールを見学。美しい曲線を描くシンメトリーの木製階段に、朝の光を注ぐドーム天井のステンドグラス。ただ々見入ってしまう、厳かな時間を感じさせる空間でした。少し歩いて芝川ビルへ。
 遺跡のようなレリーフの砂岩の外壁は必見ですが、中もレトロの雰囲気どっぷりです。夏には屋上でビアホールもやるそうです。船場ビルの中庭はテナントへの搬入のために計画されたそうですが、パティオのような空間になっていてとても魅力的でした。
最後の綿業会館は大坪さんもお勧めの建物で、村野藤吾が若い頃に設計担当したものです。建物の優雅な雰囲気の中での昼食のコースも美味しくて、特に女性陣に好評でした。
 午後はレトロとは関係なく、妙見山にあるお寺の施設、星嶺を見学しました。高松伸設計の星嶺は、ガラス張りの床に特有のメカニカルな造りで、一般的なお寺のイメージとは全く違うものとなっています。古いイメージを払拭する狙いで依頼したそうで、こういった試みは今後増えていくではと思いました。

 今年も多くのご参加を頂き、ありがとうございました。ご協賛頂いた東邦ガスさんとチタジュウグループさんにも感謝です。このご時勢に大変有難い限りです。研修委員の皆様もお疲れ様でした。


青年委員会事業を振り返って
青年委員会委員長 榊原昭仁
 青年委員長をやらせていただいて2年目、今年も支部事業と本会青年委員会への出向と色々な体験をさせていただきました。
 支部青年委員会事業としては、今年は「ぶらり奈良探訪」と題して12月に奈良県奈良市を訪れました。平城宮跡、薬師寺、唐招提寺、興福寺・東大寺と古都奈良の街をめぐる視察研修です。電車と市バスを利用しての移動でしたので、自動車生活に慣れた自分には新鮮な旅となりました。しかし天気予報では曇りの予報だったのですが、当日昼過ぎから小雨が降りだす天気。思い返すと去年の事業「犬山国宝めぐり」で犬山を訪れた時も昼過ぎから雨が降ってきていました。どうも、私が企画する事業には雨が付きものらしいです。そんな天気でしたが多数の方に参加していただき無事事業を行うことができました。
 薬師寺では国宝である東塔が約1世紀ぶりの解体修理と言うことで仮設屋根工事が行われていました。このCityが発行される頃には東塔はその姿を隠し、見られない状態になっていると思います。次に見られるのは7年後の平成30年度と言うことです。7年後には私は青年委員会を卒業していますが、また奈良を訪れる事業を企画して欲しいです。
 また、今年度も前年度に引き続き通年事業として「知多の建築」HP再構築事業を行っています。青年委員会で知多半島の各地に出向き、撮影した写真で地図を作りホームページで公開しています。皆様から載せてほしい知多を代表する建築物等の意見があればお聞かせください。
このようなホームページ拡充事業ですが、インターネットを利用して沢山の情報を会員の皆様へ発信・共有して、半田支部の活性化に繋がっていくことを期待して行ってきました。
 半田支部並びに青年委員会の運営に興味を持たれている方、是非運営にご協力ください。
 40歳まであと数年ですが、これからも青年委員会事業へ積極的に参加して行きたいと思います。  次年度も多数の皆様が半田支部並びに青年委員会事業へ参加していただけることを楽しみにしております。

女性委員会 事業報告
女性委員会委員長 田中和子
 手探りで発足した女性委員会も丸五年を終えました。多くの方に参加していただけるよう意見を出し合い工夫して交流研修会を行っています。今年度は京都町家めぐりと熱田まちあるきです。

冨田屋にて

堀川沿いを歩く
 6月2日(金)参加者5名で京都へ。目的地の天気予報は終日曇り。家を出るときは、横殴りの雨が降っていましたが、京都では時々日も射し、上々の研修日和です。西陣から室町をめぐり、冨田屋と秦家ではお話をうかがいながら室内を見学しました。伏見で両替商を営んでいた冨田屋が、現商家を建てたのは明治十八年です。明治期の典型的な大店の町家として国の登録有形文化財に指定されています。ここでの見学は十三代目から「しきたりを学ぶ」ことから始まります。毎日の神仏事、宮中からおりてきた行事、無病息災・家内安全の為の決まり事、全て先人の知恵であり、意味があります。そこには人々が仲良く安らいで暮らす為の願いが込められていることなど、暮らしそのものが文化である京都の“生きた町家”に触れることが出来ました。夏のしつらえが施された離れ座敷では、厳選された材料と、職人の繊細な手仕事に思わず見入ってしまいました。網代の夏用敷物、明治の頃から使っているとのことで、洗練された意匠と足に触れるひんやりとした感覚が印象的でした。
 秦家では奥ゆかしさの中にも歴史のあるこの町家を今も守り暮らしている誇りを感じました。桜材の重厚な枠組みに欅材の鏡板、表屋の店の間の置き看板は、薬種業を営んでいた往時の堂々たる風格がありました。入った瞬間に感じた明かりの暗さになれる頃には、通りの喧騒がうそのような静けさの中、すっかり居心地が良くなっていました。
 9月16日「ぶらこんの〜熱田まちあるき」を開催しました。参加者は7名、和気あいあいのぶらぶら歩きです。まずは熱田神宮で講師の金野先生から解説があり、標高を色分けした地図でこれからめぐる場所の地形をイメージして出発。熱田神宮から北側へ伸びる道、周りと比べて高くなっています。尾根のラインです。途中、断夫山古墳で蚊の大群に遭遇。
 かつては崖であった堀川沿いを歩くと気持ちの良い風が吹いてきました。
 宮の渡し公園は、宮(熱田)から伊勢桑名へ海路七里、それゆえに“七里の渡し”と呼ばれた航路の渡船場跡です。格式の高さがしのばれる丹羽家住宅や熱田荘を見ながら伝馬町へ向かいます。白鳥橋では、かつての尾張藩の貯木場を想像して。1758と1790に建立された2基の東海道道標、往時は道行く人のかけがえのない道しるべでした。今では彫られた文字もはっきりと判別できません。多くの車が往来する一号線と比べて道幅も狭く今では脇役となった旧東海道を歩いて、約8キロ、1万8000歩の小旅行を終えました。
 坂道を見るとわくわくするという地理好きの境地にはなかなか到達できそうもありませんが、今までは気に留めることのなかった風景も視点を変えると違う新たな顔を見せてくれると感じた研修会でした。
■編集後記
 早いものでもう2年が過ぎました。皆様の多大なるご助力のおかげで無事、発行することが出来ました。心より感謝しております。また、原稿を執筆して頂いた皆様にも深く御礼申し上げます。まことに有難うございました。
広報委員長 細川 美智子