知的障害者のための訓練施設 コーポラスさつき改修事業
第二の建物づくり

半田支部まちづくり研究会 新谷隆利

 前回のシティーでは、工事着手までの経過を紹介しましたが工事も完了し、仮称名から『コーポラスさつき』と名付けられました。
 平成12年10月31日に竣工を迎え、宿泊訓練施設は『さくらんぼ』グループホームは『しゃせんぼ』(どちらも樹木の名前)と、それぞれ名前が付けられ、『さくらんぼ』では家族の皆さんにとって子離れを経験し日々の介護からも開放され、ほっとするひとときや、子供の将来を見つめ直す時間として又、日中の活動では知り得ない家庭での生活の一端を知り、一人一人に合った生活支援を充実していくことが目的であります。
 『しゃせんぼ』では知的障害のある方々が共同生活し、地域の中で暮らすための自分自身の『家』とし、そこからそれぞれが独立した生活を目指すものです。
 工事中においてはみなさんも経験があると思いますが、改修工事に付き物であります図面なき現場合わせが多々発生し工事金との調整に苦労しました。
 特に設備に関しては既設材料の劣化や新設機器の構造変更により取り付けができない等、解体しないと解らない部分が殆ど使用できないものとなっていました。
 今の時代、建築業界(特に住宅部門)は消費者受けのする低コスト・工期短縮・デザイン性重視といった表向きが良い部分に力が注がれている傾向にあると自分自身感じているのですが、これからの時代は、人に、環境にやさしいと言われる中、建物を造る側に於いては、建物そのものにやさしさを取り入れたいものです。
 数十年経てば何らかの補修改修が必要になりますが、その時に容易に又、必要最小限に工事が済むように設計者の立場で考慮したいものです。
 物を長持ちさせることの大切さを今回の工事で改めて感じさせられました。