女性委員会が主題するわたしらしい住まいづくりも今年で22回目を迎えました。11月13日~25日の作品展では、みなさまのパネル作品パネルに加えて昨年から最終日にミニ発表会があり、女性建築士の作品をより深く理解できる機会が増えました。
入口看板 パネル展会場
17日には、上智大学の藤村正之(ふじむらまさゆき)先生を迎え「少子高齢時代のライフスタイル―3.11を経た日本社会において」というセミナーを開いていただきました。藤村先生は、三浦展/藤村龍至編(2011)『3.11後の建築と社会デザイン』平凡社のパネラーの一人として山本理顕氏などと対談されており、福祉社会学からみた地域のありかたについて述べられています。
セミナーではまず、社会学の視点についてお話しくださいました。社会学ときくと理屈っぽいイメージがあったのですが、生活に密着し、さまざまなしがらみなのかで生きている事実を研究することのようです。ライフサイクルの変化が著しく、現在は単独世帯が32.4%、65歳以上では16.4%が単独世代、65歳以上の女性では20.3%が単独世帯というシングル化が進んでいます。経済市場ではコンビニエンスストアーとスマートフォンがシングルを支えているけれども、お金がないとその社会から排除されてしまうことや介護などのお金で買えないものもあり福祉制度が必要です。そして、災害の有無にかかわらず高齢者は、日常的にいろいろなリスクを抱えて生きているので、人間関係を形成しやすいような地域づくりが日頃から必要だということでした。
東日本大震災の話では、死が身近にあるものだと再認識させられ、生き残った人たちも罪悪感などで苦しんでいること、将来の不安を抱えながら生活している人のことなどをお話しくださり、社会学からみた震災後の支援の在り方についても考えさせられました。
社会の変化に対応した建築に携わることの重要性を改めて感じたセミナーでした。
(文・竹中美智子)
セミナー 上智大学 藤村正之教授
ミニ発表会 懇親会にて