第14回(公社)愛知建築士会学生コンペ2019「情の建築」/ 一次審査発表(入選作品の発表)

全作品の審査員のコメントを掲載しています。
イメージパース等は二次審査終了後に公開します。

入選6作品の紹介


 作品番号5 純情可憐 ~建築姿の君~

審査員コメント

二次審査に向けては、場合によって素材を変えたりするのも考えられるかもしれない。 内部空間を見る建築ではなくて、外部空間を見る建築という着眼点が面白かった。 衣服と建築の境界を突き詰めて、場合によっては形態を変えても構わないと思う。 パーソナルな建築になると思うので、それを情と絡めて考えても良いかも。

纏うような体験ができる新しい建築として評価。 もっとスケールに対して衣服に近づけても良いのかも。 閉所恐怖の人でも衣服には閉塞感は感じない。その境界を感じられるかどうかの点が興味を惹かれる。

常に頭が上端より上に出ているので、景色にあまり変化を感じられないのでは?

一昨年、昨年にも似たような作品があり、既視感があった。

二次審査に向けて発展性を感じられる。 建築の形を評価したわけではないので、衣服的な要素をもう一つ組み込んでほしい。 実寸で作った時の説得力があると思う。

衣服と情の関連性を説明してほしい。

ポエティックな形態。建築を身体的な衣服として表現している点に好感。


 作品番号8 今>古 -銀座で、洗おう。-

審査員コメント

庭まで考えられている点を評価。布で自然を表現している点が良い。 素材・材料を扱っている中で、一番良かった。 天井を扱っている点で、茶室の理解度が高い作品として評価。 かと言って、茶室にこだわり過ぎるのも良くない。

天候を布で表現する点に可能性を感じる。 どんな布なのか具体性をもたせてほしい。

「和」のおもてなしは、ほとんど評価されていない。

茶道の作法を建築化できている点を評価。 茶室を分析的に考えている点を評価。

茶室の案の中ではこの作品を評価。

フィルターとしての布の透過性をもう少し突き詰めてほしい。


 作品番号9 空感の連続

審査員コメント

二次審査に向けて、展開や断面等の全貌が判る資料が必要。 個人的にはイチオシの案。空間で気持ちを表現している点を評価。 中に入った人が面白い体験できるのでは?

構造がどうなっているのか?人がどのように入れるのか?をもう少し詰めてあると良かった。 二次審査に向けて、ダンボールでも良いのでモックアップを作って検討してほしい。 プレゼンテーションの絵が2つとも同じに見える。中の表現をわかりやすく表現して欲しかった。

情というテーマを建築でうまく作りこんでいる。

カタチの完成度に疑問。もっとスタディをすべきだと思う。スタディを重ねた結果の形態とは思えなかった。

3m×3mでどこまで感情を表現できるのか?に興味がある。チャレンジしがいがある。 プレゼンではコンクリートに見えるが詳細は不明であり、素材に対する信念を表現してほしい。

3m×3mの中で14の空間が本当にできるのか見てみたいので、 14の空間を図面や模型という具体的に表現をしてほしい。


 作品番号11 Earth Architecture -泥角に宿る情-

審査員コメント

材料系の案で最も評価。手で触れて作っていくという点も評価。 カタチについては評価はあまりされていないので、二次に向けてのブラッシュアップに期待。どんな土を使うかなども提案してほしい。

泥団子を磨く行為が情として捉えるとしては魅惑的。とは思いつつ、本当にそうなるのか?を詰めてもらいたい。 実際の材料で作ってみてほしい。土間の三和土のような質感の魅力を感じたい。

日干し煉瓦積んでいるだけではなく、もうひと工夫あると良かった。 モジュールを複数用意し変化を持たせていくと良かった。

皆で体験し、皆の感情がひとつに纏まるという唯一の案を評価。 出来上がりよりも作っていく過程で、情が生まれるという点も評価。 出来上がった後に時間経過で崩れていくのも情として評価。 日干し煉瓦の具体的なサイズが不明なので詰めてほしい。(少なくとも一部を実際に作ったモックアップは見てみたい。)

公園の遊具が規制されていく中で、新たな方向性・可能性を評価。 行為をより多く想定してほしい。

カタチとしての評価はあまりできない、土ブロックのことを強度の高め方を含めもっと勉強して欲しい。

提案書に描かれたサイズで子供が扱えるのか?重さも含めて考えてほしい。 材質だけに頼らず、情に訴えるカタチを検討してほしい。

物語性は良かったが、表現としては単純かも。


 作品番号12 此処は私も待つ

審査員コメント

一枚目の意味をもっと説明して欲しい。工法として成立させて欲しい。 メッシュがベンチの支持になる訳は無いが、二次までにトライ・アンド・エラーで発展を期待したい案。 材料の使い方としては良い案。 リアルコンペなので、工法的に成立させて欲しい。

ポエティックなものと物質的なものの対比が面白い提案資料。 段階をもってブラッシュアップしていく感じがする。

情というテーマに対して詩という流れがありきたりな表現かも。 物と情が対等という言葉が気に入っているが、物の朽ち方が重要なのでどうなるかを示してほしい。文章の部分をもう少し丁寧に表現して欲しい。

既に使用された物を使用して空間を表現するという点を評価。 物が使い込まれて更新されて変化していくという点も評価。

2020年まで展示されてその変化を見せることをしているのを評価。 実現に対しては失敗するかもしれないが、その過程も含めて見てみたい案。 想像と実際の違いを学生に肌身に感じてほしい。

複雑なので模型とかで具体的に見せて欲しい。

ストーリーを明確に作ってそれを空間化しようとしているところが評価できる。

令和の時代だから万葉集という入りがちょっと・・・単純すぎると感じた。 二次審査に向けては、実際のマテリアルのサンプルを見せて欲しい。

1枚目のポエティックな面と2枚目へのつながりが、イマイチ理解できなかった。


 作品番号13 列車風からノイズを受けとる

審査員コメント

案としてはイチオシの案で、作品として発展する可能性は評価。 ノイズを建築として捉えようという感性は良い。自ら体験するのではなく、受動的に気づくような感性が良い。 実際に電車の風量、それで音が出る。というのを二次審査に向けてして検証してほしい。

「情」の建築とした場合、どこまでを建築と考えるのかよく分からなかった。 ホーム全体?駅と装置の周りの空間? どこまでを空間として捉えているのか示してほしい。

音の検証を実際に行う必要がある。

電車の通過する風でその音が表現できるのか?事象に対してより具体的な検証がないと評価が難しい。

必ずしも今の提案の音の出方にこだわらなくても、場所を含めて再検討して、とにかく音を鳴らす事を考えてほしい。

情報過多なものにどう対応するという事に対して、他を差し引いて音というものをプラスする案を評価。

日常の雑多の中に毎日の空間があり、そこを表現した点は評価。

 

以上6点が入選作品です。

惜しくも入選に至らなかった作品の紹介

 作品番号1 情を生み出す装置

審査員コメント

少なくとも情報量が多いほうが良いので、2枚にまとめるべき。空間を具体的に設定したほうがリアリティが出てくる。 それぞれのシチュエーションを設定すると発展性が出てくる。

情報を本として即物的にとらえているのはデメリットになるので訴えるものとして工夫が必要になる。


 作品番号2 感情と向き合う部屋

審査員コメント

ダイアグラムではいくつかの色が重なる事で感情を表現しているのに、案では完全に分離しているのがどうか?

リフレクト光とかが色味を変えたりすると面白いが、カラーガラスだけというのが弱い。

参照した考え方に対して自分の心に照らして、本当にそうなのか?という問いかけをもう少しすべきだったのでは。

複数の空間が絡み合うようなカタチとして表現すべきだった。


 作品番号3 オモウ覆い 褪せるオオイ

審査員コメント

感情は刹那的に動くのだが、この作品の時間経過はゆっくり動いていて感情を表現した点を評価。

オブジェ系の案では良かった。単純だが力を感じる作品。 内部空間がないのが残念。

この形状にする意味がわからなかった。もっと場所を設定したりした方がよかった。

周りの植栽や風景を含めて経年変化を想定して時間軸が「情」を表現している点を評価。

時間経過と共に変わっていく様子が情感に訴えている点を評価。 「オブジェとして見る。」のみではなく、屋根の下に空間があり、中に入った時にどう変わっていくとかがあると面白かった。


 作品番号4 D-TERMINAL(データーミナル)

審査員コメント

データをカタチで表現しているのが唯一。 だが、交通事故のデータを表現する理由がよく理解できなかった。

なぜグラフが建築化されなければいけないのか?その点の説明が不足している。

アプローチが変わっていて不思議さに魅力を感じた。ただ、完成したカタチが工法的に成立するのかは疑問を感じる。

なぜ交通事故のデータなのか?は分からないが、アートとしてのストリートファニチャーとしては可能性を感じる。

バス停の機能としての貢献があるのかどうかが疑問。

グラフをカタチで表現するチャレンジを評価。


 作品番号6 Rasio-sectional Filter

審査員コメント

細かい物を積層して表現する案はよくあるので、もう少しカタチの必然性を検討や検証があれば良かった。

積層の方向が縦よりも横の方が良かったかもしれない。 ただ、工法としてしっかりしている点を評価。

実物大を作るという考え方の中での評価。完成度が高い。 茶室案を比較する中で、大きさのなかで納めることを考えてこういった提案が答えになるのはいいと思った。

茶室の案の中では完成度が高い。

実物大が出来上がった時に体験してみたいと思えるような案。


 作品番号7 光洞窟 -Cave of Nega-Line-

審査員コメント

プレゼンテーションの一番大きな絵が、作品の良さをあまり表現できていないのが惜しい。

茶室の提案の中では良かった。 視線の事しか書かれていないが、他の五感に訴える操作を積極的に訴えた方が良かったのでは? 素材感が違うのが面白い点をもっと書かれていると良かった。

視覚情報を制限して、動くことで空間を表現する点を評価。

実物展示になった時に良い案になると思う。

静と動という点と情が結びついている案を評価。 茶室を扱えば情だろうという作品が多かった中で評価できた。光の効果が動きに過敏に反応するのがよかった。プレゼンがきれいだった。

光のモアレみたいなものが人の動きと共に表現されていく点が良いが、茶室でなくても良かったのでは? 表面素材が何かは書いていないが、CGのテクスチャーが凝っている気がして期待が持てる。


 作品番号10 Perch Place(パーチプレイス) -とまり木にとまるように人々の心情に寄り添う居場所-

審査員コメント

空間の作り方が単純過ぎる。提案として目線の高さだけではなく、建築的な操作として別の形態言語を重ねて欲しかった。

話の展開は面白かったが、サードプレイスのある場所が駅のそばではなく、もっと他の場所で訴えた方が良かった。 可能性は感じるが、もうひと工夫あった方が良かった。

待合のスペースの使い方が座るのみでの構成だったが、情に訴えるのでは他の行為も加えるべき。


 作品番号14 人の待合所  和のストリートファニチャー

審査員コメント

テーマに関しての答えが感じられなかった。

情の建築というテーマに対するアンサーかどうか分からない。

既存のものを自然素材で置き換えていく点は評価できる。 ただ、竹を使用するのであれば、しなるとか特性を活かした案であった方が良かった。

ここ10年、大都市のバス停は良いものが増えた。そんな中、格好良くは提案されているが、新しい機能がない。 この案は、原始的に竹でつくるということが、新たな視点として評価できる。 外国の方を対象にした場合、風土の独自素材である竹に焦点を当てた点を「情」として評価できる。


 作品番号15 智を巡り、人を辿る

審査員コメント

デザインの既視感があるので、もう少し新規性があると尚良かったかも。

読まない本が構造物となるのが本当にそれで良かったのか?(抜けなくなってしまうのか?)

ストリートファニチャーとしては完成度は高いが、今回のテーマとしては深みが無いかも。 それを払拭するようなテクニックがあれば良かった。 本を評価するのは良いが、紋切り型の解釈では?本を読まない世代を説得するような解釈であれば良かった。


 

 

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